ドーピングの書籍紹介

汚れた金メダル
中国ドーピング疑惑を追う
[著者]  松瀬 学
[出版社] 文藝春秋
[ISBN]  4163517308
書評
1994年のアジア大会においての中国選手のドーピング陽性事例に関する記者目線でのルポタージュである。ドーピングという問題に関わる人たちの姿がよく見て取れる。
選手、コーチ、記者、検査機関、大会主催者、国際協会などそれぞれの対応と考えがひとつの事例を中心に描かれているので非常に興味深い。ドーピングという問題に対してどういう考えを持っているのか、陽性となる可能性がある場合にはどのように対応したのか、最終的に陽性となった場合にはどのように行動したのか。そういったことが分かりやすく描写されている。
この大会のときにテーマとなった薬物は、もともと人間の体内に存在している物質を利用していたというグレーゾーンであるという点がキーである。それを暴き出すための検査手法などを生み出す苦労もただならぬことであったということも感じ取れる。
今となっては絶版となった古い本ではあるが、ドーピングという問題と、それを追いかける人々の一つの転機となる事例の紹介であるため、一読をおすすめする。(遠藤)